嫁はヘルニアで入院治療したことがある。
いい機会なので今日はその時の様子を書いてみたいと思います。
腰痛記事が続いてしまい申し訳ないのですが、よかったら読んでやって下さい。
「腰が痛い」
病棟勤務の看護師である嫁は、毎日のように患者の移乗や体位変換をしていた。
ある日嫁が帰宅するなり「腰が痛い」と言ってきた。推定100kgオーバーのヘビー級患者を支えていて痛めたらしい。
その時は「気を付けろよ」としか言えなかったが、仕事のために身を粉にして働く嫁がかわいそうでならなかった。
二週間ぐらいたった頃、また「腰が痛い」と言ってきた。例のヘビー級の患者の担当日だったのでまた痛めたという。
僕はやりきれなかった。どうして嫁はこんなに体を壊してまで頑張るのか。頼むから自分を犠牲にしないでくれ。
語弊があるかもしれないが、僕にとっては患者の命より嫁の命の方が圧倒的に大事だ。自分の命を削って人の看護をするなんてすごいとは思うけど正直どうかしてると思う。
でも頑張っている嫁を傷つけたくないし「やっぱり無理するなよ」と言うしか出来なかった。
不意のくしゃみ
それからも嫁はロキソニンを飲んで痛みをごまかしながら働いていたが、ある日とうとう「コルセットを買いたい」と言い出した。
さすがにヘビー級の患者は他の人に頼んでいるそうだが、もう普通の仕事をするのもつらい状態らしい。同僚の看護師が気づかって色々手伝ってくれた。みんなに支えられてなんとか働いていた。
でも、嫁の腰は限界だった。患者より自分の看護が必要な状態だった。ロキソニンとコルセットを併用してなんとか働いていたが、とうとうその日はやってきた。
不意にくしゃみをしてしまい、嫁は崩れ落ちるようにその場に倒れた。すぐに立ち上がることも出来なかった。腰痛持ちにとって不意のくしゃみは非常に危険なのである。
病院から「動けないから迎えに来て欲しい」と電話があった。すぐに飛んで行くとなんとか笑顔を作る嫁がいた。今思い出しても泣けてくるとても痛々しい表情だった。
周りの看護師さんに礼を言い、嫁の肩を支えて連れて帰った。
椎間板ヘルニア
その日から嫁は2、3日仕事を休んだ。さすがに動けないし自宅療養ということになった。
自宅での嫁はそろりそろり動く感じだった。ご飯を食べるのもゆっくりで年寄りのような動きだったが少しずつ良くなっていった。
しかし事態は更に悪化する。
冷蔵庫にお茶を取りに行こうとしていた嫁はまたしても不意にくしゃみをしてしまった。「・・!!!」嫁は声にならない声とともにその場に倒れこんだ。
すぐに救急車を呼ぼうとするが「寝てれば治るから大丈夫」と言うのでとりあえず布団で寝かせる。
しばらく落ち着いていたが夜になって痛みがひどくなり、とうとう座薬を入れた。
それでも痛みが治まらず少し体を動かすだけで悲鳴をあげるようになった。救急車を呼び、救急隊員の方がものすごく時間をかけて苦労してストレッチャーに乗せてくれた。
夜遅くだったが以前から腰痛の相談に乗ってくれていた嫁と同期のドクターが連絡を回してくれて、知り合いの整形外科の名医が夜間対応してくれた。診断結果は椎間板ヘルニアだった。
その日から嫁は入院した。あんな弱った嫁を見るのは初めてだった。検査などでベッドからストレッチャーに移乗するときはとても痛そうだった。
幸いにも治療はうまくいき、ブロック注射によって痛みがずいぶん緩和した。一週間後、嫁は退院した。
退院した嫁はしばらく自宅療養した。僕は箸以外の全てのものを持ってやった。少しでも重いものは持たせるわけにはいかなかった。階段を降りるときもそろりそろり嫁を支えながら降りた。
しばらくするとずいぶん良くなった。
油断はできないがほぼ完全に元の生活が出来るようになった。
嫁は職場復帰し元気に働いている。
★ ★
腰痛は本当に怖いです。
助けくれた同僚や同期のドクター、救急隊員の方、病院の先生に看護師さん、リハビリの方、すべての人に感謝です。
今は元気な嫁ですがいつまた痛くなるかわかりません。
みなさんも腰痛、そして不意のくしゃみには気を付けてください。