嫁はすぐ肩がこる。
まるで肩こり病という病気を持っているようだ。しかし看護師は肩がこる仕事なんだろうか。体を動かす仕事なら肩はそんなにこらないはずだが。聞くと長時間のパソコン作業をするときがあってそういうときは特にこるらしい。
ある日のことだ。
夕飯を食べてソファに持たれながらテレビを見ていると、嫁が僕の前にちょこんと座って肩をぽんぽん叩き始めた。
肩を揉んでほしいというサインである。
「ああ」
すぐに得心した僕は嫁の肩を揉んでやる。
マッサージには多少の心得がある。
「硬っ!」
なんて硬さだ。触れた瞬間にわかる。岩のように硬い。
なんとか楽にしてやろうと必死に揉みしだく。モミモミ・・・
「おーいいねー」
特に左肩がこっているようだ。モミモミ・・・
「うひゃー」
悦びの声を上げる嫁。
僕はなんとかこの硬さをとってやりたいと思った。
色々と試行錯誤して揉む。
つい力が入った。
「痛い!・・・もっとやさしくして」
女は男が思うよりもデリケートにできている。
普通の力で揉むとすごく痛がる。
だからなるべくソフトにやわらかく。
やさしく揉んであげる。
そうすると嫁も気持ちよくなってきたらしい。
「あっ、そこいい♥」
「!!」
こうなると僕もエンジンがかかる。
すっかり張り切った僕は、またしても力強く揉んでしまった。
「ちょっとほんとに痛い・・・」
突然泣くように横になる嫁。
しまった。やりすぎた。
「ごめん」と言っても「うん」としか言わない嫁。
自分が悪いと知りつつも、ばつが悪くなった僕は隣の寝室に逃げ込み、先に寝るフリをした。
眠れない。嫁はどうしているんだ。
夜の2時になっても寝室に来ないなんて。
こらえ切れず隣の部屋に迎えに行った。
嫁は隣で寝ていた。ごめんよ。。
起こしてなんとか一緒に寝ることができた。
・・・ふとしたこと、ちょっとしたことで嫌な空気になる。
そんなとき、みなさんはどうしてますか?
我が家では時間が解決することになっている。
トイレには結婚式のときに牧師さんにもらったカードが貼ってある。
そこにはこう書いてある。
- 相手のために生きる
- 相手の意見を聞いてみる
- 相手の前に心をひらく
- 相手を許す
怒りで自分を見失いそうなとき、僕は用を足しながらこの文字を眺める。
そして結婚式で誓ったあの言葉を思い出す。
反省だ。
例えすべてが壊れたとしても嫁だけは守る。
そう心に誓った12月のある日の日記でした。
オチがなくてすいません。(; ̄Д ̄)